著書紹介

瀧田 輝己(41期)

人それぞれ:人間の多面性を理解するためのエッセイ

泉文堂 1,900円+税 2017/12/1

 「人それぞれ:人間の多面性を理解するためのエッセイ」と言う本が武蔵41期の同期である私にも送られてきた。著者は瀧田輝己君で、武蔵を1967年に卒業後、慶應大学商学部に進み、1991年から2016年まで同志社大学商学部教授を務めた人物である。武蔵在学中から親しく卒業後も一緒に遊んだ仲であるが、当時から物事を筋道立てて考え、それを訥々とした口調ながらしっかりと説明する人物であった。氏は慶應在学中から公認会計士の資格を得る事を目標に勉学に励んでいた。「監査機能論」「体系監査論」など難解な著書が送られて来て当惑した事もあるが、本書はいかにも彼らしい観察眼が随所に見られる味わい深い随筆である。(落 雅美 41期)

岡田正樹(43期)

20代の部下とうまくいかないのはなぜか?
ネット世代を育てるコミュニケーション術

ポプラ社 1,400円+税 2017/9/11

 若い部下の育成に悩んでいませんか? とくにスマホ世代の20代は、上司の言うことを聞かず、自分勝手な振る舞いが目立ちます。でも、今どきの若者批判は昔からありました。スマホ世代の部下をどのように受け入れ、育てていくのか――これが会社を成長させる昨今の課題です。彼らの育成なくして、会社の成長はあり得ません。ディレクション、コミュニケーション、エデュケーション、ワークライフ・バランスの面から、デジタル・ネイティブ≠ニ呼ばれる世代の育成法をまとめてみました。「問い詰めるのは逆効果」「成功談より失敗談を話す」「あいまいさを残しておく」「部下に教えすぎない」などが育成のポイントです。(岡田)

おおたとしまさ(麻布高校)

名門校「武蔵」で教える 東大合格より大事なこと

集英社 760円+税 2017/9/15

開成、麻布と並び、中学受験における男子御三家の一角と称される私立・武蔵高等学校中学校。この名門校では日々、進学校らしからぬ驚愕の授業が繰り広げられています。校内でやぎの世話をしたり、きのこを探したり、1学期かけて岩石を削ったり、変体仮名を判読したり……。それでも難関大学に多数の進学者を出すだけでなく、各種コンテストでも世界レベルの受賞者を出す理由とは、いったい何なのでしょうか。 のべ取材時間は100 時間以上。しまいには著者自身が武蔵で授業を行うに至るほど武蔵の細部にまで入り込み、奇妙な進学校で行われている教育の本質を描いた“笑撃”の「学校ルポルタージュ」。OBである東大・五神真総長のインタビューも掲載しています。 (85期 石戸谷 奎)

渡辺惣樹(47期)

戦争を始めるのは誰かー歴史修正主義の真実(文春新書)

文藝春秋 1100円+税 2017/1/20

 本年一月に「戦争を始めるのは誰かー歴史修正主義の真実」(文春新書)を上梓しました。単著では八冊目、翻訳を入れると一四冊目になります。英文資料をベースにし、可能な限り当時の人々の目を通した近現代史解釈に徹しています。出来上がった作品は教科書に書かれている現代史の姿とは大きく異なってます。それでも全く気にならないのは、原典に当たって全て出典を明示してることもありますが、武蔵で叩き込まれた「自ら考える」精神と、真崎先生(世界史)の指導があったからだと思っています。拙著「日米衝突の萌芽」で、第二二回山本七平賞奨励賞を受賞できたことで一定の評価も戴けました。 すでに国外(カナダ)暮らしが三五年を越えましたが、齢を重ねるごとに日本の良さを感じています。幸いに、執筆業に転じたことで外国にいても日本との関係を濃密に持てることになりました。一昨年より月刊誌「VOICE」誌上で歴史コラムを連載しております。書店にて手に取っていただければ幸いです。(渡辺)

阿部光麿(71期) (共著)

新潮ことばの扉 教科書で出会った古文・漢文一〇〇 (新潮文庫)

新潮社 670円+税 2017/4/1

 いわゆる古典の教科書に掲載される著名な文献から古文50篇、漢文50篇を抄録(文庫新刊)。その漢文編の後半において、収録する散文作品全25篇を選定し、解説を付しました。先秦からは『論語』と、老荘など諸子百家7篇、正史では『史記』伯夷列伝と『三国志』所載の諸葛孔明「出師の表」、韓愈ら唐宋八家から4篇、ほか朱子学、陽明学など近世儒学の問題意識が窺える『近思録』等、日本人の手に成る頼山陽『日本外史』、幕末の佐久間象山の一文まで。  2004年より武蔵で漢文の授業を担当して十有余年。その内容を対外的に発信する心づもりで書き上げましたので、母校の近況の一端としても御覧いただければ幸いです。(阿部)

松野陽一郎(65期)

なるほど!とわかる微分積分

東京図書 2200円+税 2017/4/25

なるほど!とわかる線形代数

東京図書 2200円+税 2017/4/25

 大学初年度で学ぶ科目「微分積分」「線形代数」の内容について解説した、教科書と参考書の中間くらいに位置する本です。初学者に読みやすいように、しかし大事なことは全部言う、そういうつもりで書きました。私はいま中高一貫校で数学の教員をしていますが、その経験が、このジャンルに数ある名著との(よい意味での)違いになっている……とよいのですが。 日本のあらゆる学問分野で、いま「こんなことでよいのか?」「どうすればよいのだ?」が語られていると思います。私も、むかし武蔵で受け取った「よい数学」をもとに、精一杯この本で語ったつもりです。(松野)

杉原 桂(65期)、他

コミュニケーション実践トレーニング

ナカニシヤ出版 1,900円+税 2017/3/10 

 東京慈恵会医科大学で5年間続けてきた非常勤講師としての仕事が形になりました。医療の知識・技術の腕は国家試験や専門制度によって担保されますが、その知識・技術を目の前にいる人へ伝えるコミュニケーション力については誰も測定しませんし、担保されません。見よう見まねでそれぞれが我流でやっているに過ぎないのです。医療に限らず、世代間ギャップの大きい時代です。価値観の違う相手とどのようにコミュニケーションをとれるかが人生の質を左右する時代とも言えます。コミュニケーションなど人の心に影響を与えるスキルはどの職種であっても必須になるでしょう。皆様の課題解決に役立てていただき、心と身体の健康に貢献できればと願っております。(杉原)